65歳以上の4人に1人が認知症または認知症予備軍といわれています。予防や進行を遅らせるには口の健康が欠かせません。今回は口から考える認知症に説明したいと思います。
■歯や口と認知機能の関係性
歯や口の機能と認知症の因果関係は、医学的には証明されていませんが、噛むことで神経回路を通じて脳へ刺激が送られ、血流が増加することで認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。
「噛む」ことを“咀嚼(そしゃく)”といいますが、単に「噛む」ことだけではありません。食べ物を噛み砕き、すりつぶし、唾液と混ぜ合わせて飲み込める状態までまとめる動作を指します。歯・舌・あごが無意識のうちに協調しあってこそできる複雑な動きが“咀嚼(そしゃく)”です。
■きちんと噛めているか、咀嚼力の低下注意ポイント
①生野菜やおひたしが食べにくいと感じる
②肉や野菜は細かくしてから口に入れている
③「この食べ物は硬い」と感じることが増えた
④パンやサンドイッチをちぎって食べている
⑤食事の時間が以前より長くかかる
⑥以前よりやわらかめのご飯を好むようになった
⑦あまり噛まず、丸飲みすることがある
⑧最近痩せてきた
上記のチェックポイントは些細なことに感じられますが、これらが噛む力低下の始まりです。
■大切なのは噛み合わせがよいこと
日本歯科医師会と厚生労働省が推進している「8020運動」(*)の成果で、80歳以上でも20本以上歯が残っている人は半数を超えましたが、歯が残っている=よく噛めるとは限りません。大切なのはきちんと噛めているかどうかです。しっかり噛めることで、好きなものをおいしく食べることができ、脳の血流量も増加します。
正しい咀嚼ができているかを改めて見直し、認知症やその予防の一助となることを考えてみてください。
(*)80歳でも20本以上の自分の歯を保とうという運動