日本の保育園・幼稚園や小学校では、年に数回 “学校歯科健康診断”といい、歯科医師が学校に出向き、児童や生徒のお口の健康チェックを行っています。当院でも、近隣の小学校や保育園で定期的に健康診断を行っています。
十数年前は、治療が必要なお子さんが多くいたのが特徴でしたが、近年は「異常なし」と、「治療が必要」な子が極端に分かれる、二極化が進んでいるように見受けられます。学校の歯科検診で、精査や治療が必要と判断されたら、早めに近隣の歯科医院で相談しましょう。
■学校と歯科医院での歯科検診の違い
<学校歯科健康診断>
文部科学省の指導のもとで行われているお口の健康チェックで、治療は伴いません。「お菓子をダラダラ食べるのはやめよう」「歯医者さんに診てもらおう」といった、問題解決のために行動できる力を養うことが目的とされています。将来、「親や先生に歯みがき指導をされなくなった途端、むし歯ができた」とならないよう、自律的に自分の健康を守る力を育てることが、最終的な教育目標とされています。
<歯科医院での検診>
厚生労働省の管轄で、X線写真を撮るなど精密検査をすることで病気を確定診断し、治療や経過観察をします。学校検診で「精査や治療が必要」となった場合は、歯科医院に行き、こうした細かなチェックをして治療をしていきます。
■学校での歯科健康診断で主にチェックしていること
- むし歯(経過観察や治療が必要か)、治療中の歯や失った歯はあるか、要注意の乳歯がないか
- 口を閉じ姿勢良く座ってもらい、骨格のゆがみがないか
- 顎関節がスムーズに動くか、音がしたり痛みがないか
- 歯並びや噛み合わせを診て、歯がしっかりと噛み合うか
- 歯ぐきが腫れたり赤くなっていないか、出血はないか、歯石はないか
- その他、普段の生活で気になることがないか本人へ確認
■学校歯科健康診断をきっかけに歯の健康を守っていきましょう
学校の歯科指導で食生活や歯の大切さを学び、検診結果をきっかけにお口の健康度を知ること、そして普段から歯について相談できる、かかりつけの歯科医院を見つけることは、生涯のお口の健康を決定づける大切な経験になります。
歯科医院は、むし歯や歯周病が悪化してから受診するのではなく、定期的に歯のクリーニングや歯みがき指導を受けていただき、お口の病気を未然に防ぐことを最終目標としています。学校教育と医療がリンクして、お子さんのお口を守ることで、生涯自分の歯で食べられる人がより増えるようにと願っています。